「騎馬民族がもたらした日本のことば」・東先生がご出版
猪瀬威雄 8回生
母校で生物をご担当、1回生から31回生まで多くのクラスを担任され1985年に
定年退職された東巌夫(ひがしいわお)先生が、ご退職直後からライフワーク
として取り組んで来られた日本語の語源ご研究の成果が、愈々今年秋に露満堂
から上梓されます。題名は「騎馬民族がもたらした日本のことば」A5版300余
ページのご労作ですが、本書で先生は、往古北アジアから渡来し日本列島を
征服した騎馬民族の言葉「古代テュルク語」が日本語の母体となったことを発
音・用法の両面から詳細且つ具体的に検証されています(先生によれば、日本
語の語源を古代テュルク語と結び付けた研究は初めてとのことです)。現存す
る「古代テュルク語」の主要史料としては、6世紀〜8世紀にモンゴリア・中央
アジアに大帝国を築いたテュルク系の遊牧騎馬民族「突厥(とっけつ)」が、
モンゴルのオルホン河畔と南シベリア・エニセー川上流に残した石碑群に刻ん
だ碑文(オルホン・エニセー碑文)があります。文字は長らく謎の儘でしたが、
1893年デンマークのトムセンによって解読された結果、オルホン碑は732年と
735年に建立されたもので、碑文は突厥の君主の功績を称えたものであることが
判明しました。先生は十数年に亘り中国にご留学、現地の著名な教授方に師事さ
れ古代テュルク語の近縁にあたるウイグル語(中国の少数民族中最大のウイグ
ル族の言葉)を学ばれた後、「古代テュルク語と突厥文字」を習得されました。
文献によれば「突厥」の出自はバイカル湖の南からカスピ海にかけて分布して
いたテュルク系民族の「鉄勒(てつろく)」で、更に遡ると紀元前後北アジア
に住み匈奴に服属した遊牧騎馬民族の「丁零(ていれい)」に辿り着くとのこ
とです。
ご著書は総説以下三部の構成です(出版迄に一部変更される場合も有り得ます)。
○ 総説「騎馬民族がもたらした古代テュルク語」では、「突厥族及び日本民
族の原郷、古代テュルク語(オルホン・エニセー碑文)とその文字・文法、
その中に見る日本語の語源、日本語の訓読との関係」等基本的内容を取上げ
ます。
○ 第1部「生活の基本となった用語とその語源」は、「明るくなる」、「黒い
、暗い、暮れる、たそがれる」、「とる」、「うつ」、「かたい、かためる」、
「やわらかい、和らぐ、弱る」、「すごい」、「きれい」他の用語について
の検証です。
○ 第2部「日常的な用語とその語源」は、「かえる、かえす」、「ひっくり
かえる、ぐらっとくる」、「あら」、「ひざをつく、嘘をつく」、「かぶる、
かぶせる」、「うとうと、うつらうつら」、「ぶすっと」他の言葉について
の検証です。
ご著書の定価は消費税込みで3360円ですが、予約を頂いた緑友同窓生には特に
3000円(送料込み)でお頒け致します。予約ご希望の向きは、メール若しくは
メールをお持ちでない方はFAXにて、下記宛にお申込み下さい。
* 高廣正脩(3回)mail:[email protected]
FAX:03-3719-7995
* 猪瀬威雄(8回)mail:[email protected] FAX:044-870-3647
尚今回、下記卒業生有志(敬称略)による「東先生ご著作有志の会」が微力乍ら
お手伝いをさせて頂いております。
○高木暢之(1回)○内田安雄(同) ○歌田勝彦(2回)○高廣正脩(3回)
○金子順治(4回)○安西俊蔵(5回)○塚本隆一(7回)○東誠(8回)
○安楽兼光(同)○井上武久(同)○猪瀬威雄(同)○折田正樹(9回)
○平山昭男(10回)○本村正二郎(11回)○大塚東(同)○市来嵜潔(同)
○山下俊之(12回)○岩下智親(13回)○荻野剛大(14回)
○折田一利(15回)○佐伯泰樹(19回)○白石まゆみ(28回)
以 上