下山路もブナのなか。こんな美しい緑に囲まれた山は久しぶりです。蝉は登山中、成虫やぬ
けがらをブナの幹に幾つか見かけました。初めは無機質に感じられた声も馴染んでくると強
弱があったり少し甲高いものがあったり、やはり生き物の声だなと感じます。
沼田駅に近い地蔵橋のたもと、利根川のほとりにあるユニーイクという温泉で汗を流し、
いつものように仲間に感謝の乾杯! 梅雨の晴れ間のラッキーだった一日を愉しく回想し
ながら、沼田発17:46、ガラガラの上越線に乗り、帰途に着きました。
行程 沼田駅−(タクシー)−玉原湖−玉原湖分岐−尼が禿山(昼食)−玉原越えー
玉原湿原−センターハウス
参加 男性)小泉、伊藤、森、三ツ本、大迫、谷、吉村
女性)平林、谷、大窪
ワタスゲ
コバイケイソウ
下山路
山を下って玉原湿原へ。湿原の花は端境期で少し寂しい。水芭蕉は終り、菖蒲は紫のつぼ
みが開く直前です。勢いよく咲いているのはコバイケイソウと綿スゲ、共に白い花です。
木道を一廻りして、登ってきた尼ヶ禿山を確認し、高原のセンターハウスに戻りました。
尼ケ禿山
梅雨どきです。こんな季節に計画したからか参加希望の連絡が初めは少なかったのです。ところ
が梅雨入りしても雨が降らない。だんだん申込みが増え、12人になりました。直前のアクシデ
ントでキャンセルが二人、結局、東京から8:04発の上越新幹線に乗ったのは10人でした。
お天気は薄曇り、青空も見え隠れしています。
高崎から在来線に乗り替え沼田まで。沼田からタクシー3台に分乗して北へ走り、40分ほどで
玉原高原センターハウスへ到着です。タクシーを降りたとたん不思議な音響に包まれました。「
あの音、何ですか?」「あ〜あれね、蝉ですよ」運転手さんとの会話です。セミ!驚いたッ!
それはまるで無機的に発せられる音のように途切れ目もなく響き続けているのです。その蝉の声
のなか玉原湖の北岸へと歩き始めます。玉原はタンバラと読み、この湖は1981年に完成した発電
用のダム湖です。
玉原湖を離れ、輝くばかりの緑の山路へ歩み入ります。途中のロッジで蝉を見つけました。形は
小ぶりで羽は薄く透き通っています。こんなはかなげな生き物がマッスになると山を轟かすよう
な羽音を響かせるのかと二度びっくり。博識のメンバーが「エゾハルゼミ」ではないかと(あと
で調べたらその通りでした)。
玉原(たんばら)高原から尼ケ禿(あまがはげ)山(1,468m)
ブナの森
エゾハルゼミ
登山路は湿りを含み一足一足山靴を包み込んでくれるような快さです。ブナの森、ブナの山、
その中を涼しいかぜが爽やかに吹きぬけます。梅雨時の蒸し暑さはまったくありません。見上
げれば青空、降り注ぐ木漏れ日に丈高いブナの木がさわさわとそよぎます。
1466mの山頂はあまり広くありません。べつに禿げてもいなくて、不思議な山の名です。お弁
当と共に楽しみにしていた赤城山、武尊(ほたか)岳、あわよくば谷川岳などの山並みは遠曇
りで見られませんでした。